カルチャー加藤くんの文化活動

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てれびのスキマ「爆笑問題はなぜ“つまらない”ボケを繰り返すのか?」にカルチャー加藤くんが勝手に補足。

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◾️爆笑問題に恋した瞬間

(いきなりですが!この項は、すごく個人的な内容で本文とは関係ないので、読み飛ばしていただいても結構です!)

ぼくは爆笑問題が大好きです。
この好きはLikeではなくLoveです。ふざけているのではなく率直に、この感情は恋です。
といっても僕は恋愛という面では、心からちゃんと人を好きになったことがないと思います。チェックシートのように「顔いいかな」「話しまあまあ合うな」「家近いな」よし好きでOK、よし好きでOK。みたいな打算丸出し採点方式の好きならあります。だからみんなが異性(同性でも)に対して掛け値無し、心から好き。という感情は共感できません。ただ爆笑問題に対しては、そのみんながいう好きってこういうことなのかなと思います。
その恋をする瞬間を、いまでも覚えています。


僕が中学生の頃、爆笑問題さんが司会を務める「雑学王」を眺めていました。この番組はクイズ番組で、特に爆笑問題さんの色が濃く出ている番組ではありません。それに、特にグッときたやり取りがあったとか、太田さんのボケにおもわず笑ってしまったとか何かのきっかけがあったわけではなく、この2人が司会する姿をボオと眺めていて、ただなんとなく、
「あ俺はこの人達が好きなんだな」と気づきました。それは世間的にいう、ビビッとくる恋だったと思います。そしてそれから10年近く経った今でも恋したままです。
すごく個人的で!つまらない話かもしれません。が、
僕は人格の部分にまで爆笑問題が食い込んでいるので、本文に僕のくだらない感情が出ないように、アタマで処理し切らせてください!もう少し続きます!


もっと前、
小学生の頃、僕はクラスの新聞係でした。ある時、その新聞のワンコーナーで「好きなテレビ番組ランキング」なる企画が立ち上がり、僕が担当記者と相成りました。クラス全員に好きな番組を聴いてゆく中で「うーん、、なんだろう?I.Qサプリ、、いや、、めちゃイケとか、、、」などと煮え切らない態度のクラスメイト全てに対し、当時好きだった、爆笑問題というよりこの時は番組です。「(爆笑問題の)バク天おもしろくない?見てる?ねえねえ?面白いよね?ねえどう?今週のドミノ倒しのやつみた?ああー!でしょ?面白かったよね?じゃあバク天でどう?」などと切迫した態度で迫まり続け、「じゃあバク天でいいよ」という一言を無理矢理にでも引きずり出し、見事「爆笑問題バク天」を、1位に押し上げました。
この時は気づいていませんでしたが、
僕は爆笑問題に恋をする運命だったのかもしれません。

◾️太田光の「表現論」

さ、いよいよ本編です
てれびのスキマさんが書いた「爆笑問題はなぜ”つまらない”ボケを繰り返すのか?太田光の「テレビ論」」という記事に勝手に僕が補足を加えます!と、
いうのもですね、てれびのスキマさんのいう太田さんが「つまらないボケをする理由」とは別に、もう一つ、「つまらないボケをする理由」があるんじゃないかとおもったんです。
まず前提の「つまらないボケ」とは太田光さんが共演者にしつこくしょうもないことを繰り返す、進行の妨げになるほど騒ぎ立てる、あれのことですね。見たことありますか?そしてどう思いますか?ぼくはその姿を見ると、自然に笑みがこぼれます。
爆笑問題はなぜ“つまらない”ボケを繰り返すのか? 太田光の「テレビ論」(てれびのスキマ) - 個人 - Yahoo!ニュース
と、
当該のこちらを読んで頂ければ幸いですが、
お時間のない方に向けて、僭越ながら
ほんとにざっくりと、ほんとうにざっくりとこちらの記事の結論を要約すると、
「テレビの特性、テレビでハマるものを考えぬき、「面白い事を言う人」ではなく、おちゃらける奴・道化になることで「面白い人」になるをことを選んだため」
ということだと思います。まさにタイトルにもある通り
太田光の「テレビ論」」からなぜつまらないボケをするのかが導かれていく興味深い記事です。
そこでぼくが何を語りたいかというと、
爆笑問題はなぜ”つまらない”ボケを繰り返すのか?太田光の「表現論」」です。
そう、太田光の「表現論」から答えを導きたいと思います。

◾️ピカソの「オギャー!」

2006年「爆笑問題×東大 東大の教養」という特番がありました。シンポジウムのような形で現役東大生を前に、東大教授と爆笑問題が「教養」についてトークをするという番組です。
その中で太田さんが高校時代、わけのわからないシュールなピカソの絵を見て一度だけすごく感動したことがある。そして、それはなんでもありなんだとピカソから言われたような気がした。と語ります。
そしてピカソの凄さについてこう続けています。


太田:ピカソとかっ、、がやってることって、例えば赤ん坊がですよ、生まれて、「オギャー!」って泣いてるようなことなんだよね、あれ。
なんだかわかんないけど、世の中にそのまんま訴えてる。そのまんま、、!
(東大教授:でもさそれまでにピカソはめちゃくちゃ絵が上手くて、、)
太田:そうそうそうっ!だからピカソはその段取りを踏んでるんだけどっ!
(中略)
で赤ん坊はなんであれ、「オギャー!」って言えるかっていうと、赤ん坊はまだバカだって周りが思うから、こいつは何がい、、いいたい、、おっぱいが欲しいのか眠いのかっていうのはこっちが勝手に考えてくれますよね。「オギャー!」って言ってるからなんか言いてえんだろうと。その大人と赤ん坊の関係をピカソダヴィンチっつうのは、大人になってから気づけたからすごいんだと思うんだよね。周りが「あっ、あいつがなんか言ってる。なんだろう。」って耳を傾けて、こっちが勝手に解釈してくれる。
(中略)
そういう世の中かえるっていうことを、やる人っていうのはそういう信頼関係を築く、、築いてからじゃないとなかなか「オギャー!」って言えないでしょ

 

ぼくは、太田さんの「つまらないボケ」とはまさにこの「オギャー!」なのではないかと、思うのです。
2006年当時、爆笑問題まさにテレビバラエティ、お笑い界の頂点に登りつめたタイミングでした。そのお笑いの才能は世間にも同業者にも認められ、政治やこうした学問の世界にまでフェアに切り込んでいく。
爆笑問題はその時、太田さんがここで語った「ピカソはその段取りを踏んでる」といった状態だったとおもうのです。つまり技術・実力が認められている状態。
そこで「オギャー!」と叫んでも聞いてくれる、信頼関係を築けると思った。その上で、ピカソのようになんでもありな世界へと歩を進めようとしていたのではないかと思うのです。


これはぼくのふわっとした認識なのですが、このくらいの時期より前の爆笑問題は「つまらないボケ」をするというイメージは今ほどはなかったと思います。特にこの辺りからもう一段階「つまらないボケ」を強めていったという印象があるんです。(ただこの時期より前に、無鉄砲につまらないボケを飛ばす芸風はあって。そのことはてれびのスキマさんの記事に詳しく書いてあります。)今と比べるですがまだ、不要に騒ぎ立てたり、漫才の冒頭で奇声をあげて客席に飛び込むといった奇行ともいえる「つまらないボケ」はしていなかったと思うんです。
つまりこの時期から太田さんは「オギャー!」と叫びだしたんじゃないかと思うのです。

◾️バカボンパパの凄さ

そしてこの「オギャー!」と叫び、それを聞いてくれる関係を築いた、表現者の在り方が、まさに理想なのだと太田さんは語っています。
2008年「JUNK座談会スペシャル2008」というラジオ番組です。「好きな漫画のキャラクター」というトークテーマで、太田さんがバカボンパパの凄さを語る一幕がありました。

 

太田:例えばさいろんなキャラクターがいるじゃない?
ええーこう例えば北斗の拳がいて、ええーなんだ愛と誠の誠がいて、あしたのジョーがいて、タイガーマスクがいて、星飛雄馬がいて、じゃあでそこにバカボンパパがいるときに、、誰が一番っ!、、例えばっ、、あじゃあ赤塚キャラでもニャロメがいて、イヤミがいてって、なった時に誰が一番!そのお〜ボケか!?みたいに考えるわけ。

そうすとどお〜考えても!イヤミとバカボンパパを共演させた時に、イヤミっつうのは、けっこう酷い目にあうんですよ。あのーね、ニャロメも合うんだよね。で、そういう変なボケのキャラクターいっぱいいんだけど、バカボンパパだけは常に自分が酷い目に合わす方なんだよ!
(中略)
いろんな最強キャラクターを集めた時に、ど根性カエルのぴょん吉だろうがヒロシだろうが「ああーやられちゃった!」みたいな場面があるけど、バカボンパパだけは
「これでいいのだ!」って常に笑ってる。
つまりこの!この!存在の仕方が、
俺はもうあの、すごい理想なの。

(中略)
みんな振り回されるの、パパに。
いろんなキャラクターを考えても、バカボンパパに勝てないと思うんだよね。
それを目指したいんだよね!おれは!
つまりその生き方が一番幸せだと思うの!

ここでいう
バカボンパパ」と「その他のキャラ」
の関係はまさに
「オギャーと鳴く側」と「聞く側」
の関係だと思います。そしてその関係こそが最強で、理想だと太田さんはいいます。なおかつ、その生き方が一番幸せだと断言します。

つまり太田さんは最強のボケとして、そしてそれが最強の表現者の態度だと思って「つまらないボケ」をしているのです。

以上が、ぼくが思う「爆笑問題はなぜ“つまらない”ボケを繰り返すのか?」でした!どうもありがとうございます。

◾️いいともグランドフィナーレの太田光(おまけ)

最後にですね。
2014年3月31日「笑っていいとも!グランドフィナーレ感謝の超特大号」の話をしたいと思います。
いいともグランドフィナーレと言えば、なんといってもあの「奇跡の共演」。
タモリ明石家さんまとんねるずウッチャンナンチャンダウンタウン爆笑問題ナインティナインというお笑い界の最強キャラクターが大集結した奇跡の瞬間でした。
とここで、
前項の漫画の最強キャラクターを集めた時にバカボンパパが最強という太田さんの話を思い出して欲してください。そして、そのバカボンパパを目指したいと言っていた太田さんを思い出してください。
「いいともグランドフィナーレ」はまさにその状況が、現実となった瞬間だったのです!
とそこで、では、「いいともグランドフィナーレ」での太田光は最強だったのか?答えは、
最強かどうかは松っちゃんもいるし!さんまさんもいるし!誰が最強とは言えないけども!
たしかに太田さんはいつもの太田さんで!
田中康夫を引き倒したり、橋田壽賀子をいじったり、「こんなメンバーで仲良くできるわけねえじゃねえか!」とカンペに毒づいたり、
バカボンパパのように、「オギャー!」と叫び続けていて、最高だった!
ということである。ということで全文披露させていただきました。ありがとうございました。爆笑問題love

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