カルチャー加藤くんの文化活動

映画、本、喫茶店、文具、音楽、ファッション、アート、お笑いとかのカルチャーのはなし

2022年に買ったスーツ4着をレビューする

2022年にメルカリとヤフオクを駆使して購入したスーツ4着の感想を、時系列順に書いていきます。去年は大きく分けて2種類のスーツを探していました。舞台衣装として着る肩パッドが入っていて、襟が大きく、ズボンの裾が広がっている華やかな70年代型のスーツと、普段着として着る肩パッドがなく、カジュアルな形・素材のスーツ。それぞれ2種類ずつ登場します。

では、1着目。

f:id:sasasava:20230110221652j:image

ブランド:Mr.Van 、購入元:メルカリ、着用目的:舞台衣装

まずはこちらのグレーのスリーピーススーツ(同じ生地のベスト付きのタイプ)です。これが今年買った4着の中で一番気に入っています。色も明るくて華やかだし、同色で柄の入ったボタンや太っとい裾やつるつるした生地など細部も気に入りました。なんと言ってもスリーピースなのがいいです。

調べてみると、どうやらこのMr.Vanというブランドは、Van jacketという60年代-70年代に日本で流行った国内ブランドの兄弟ブランドらしく、アメリカントラッド的な形のスーツを展開するVan jacketとは違い、ヨーロッパ・イギリス的な形のスーツを展開していたみたいです。あとで着用画像も載せますが、まさに70年代型という感じで、トミー・ナッター型というか、横山やすし型というか、岩井ジョニ男型というか強調された肩、襟、裾の形が素晴らしいです。

このスーツを着ると高度経済成長期のトヨタの社員になった気分になるので、必ず新橋の高架下のおでん屋で、ハイライトを根元まで吸いながら意識がなくなるまでホッピーを飲むのですが、その状態だと帰り道、ふらふらと道端に倒れてスーツを痛めかねないので、今年は、高度経済成長期のトヨタの社員になった気分が湧き上がってきた段階でその気分を完全に打ち消して、スーツを痛めないように気を引き締めようと思います。着画です。

f:id:sasasava:20230110222250j:image

f:id:sasasava:20230111001801j:image

では、2着目。

f:id:sasasava:20230110233054j:image

ブランド:オーダーメイド品、購入元:メルカリ、着用目的:舞台衣装

こちらを買ったのはハッキリ言って失敗でした。サイズが小さくて着れませんでした。着れないというか無理やり着たのですが、スラックスのウエストが小さすぎて、苦しいどころの騒ぎではありませんでした。おそらく僕の後ろ姿を目視で確認できるギリギリの距離からみてもお尻の割れ目がくっきりと縦に走っていることがわかるほどにストイックなシルエットだったと思います。ブルーグレーのような絶妙な色や、独特な織柄、70年代型でスリーピースなど、物としてはよかったので残念です。サイズも慎重に確認したつもりだったのですが、甘かったと言わざるを得ないですね。

 

では、3着目。

f:id:sasasava:20230110234916j:image

ブランド:J.press、購入元:ヤフオク着用目的:普段着

こちらは普段着として買ったベージュのスーツです。肩パッドもなくウエストの絞りも緩く、コットンナイロン素材なのでカジュアルで着やすいです。流行りのベージュで、流行りのツーインタック、流行りのダブル裾。流行りのクラシックな形です。まあいいですね。まあただ、すっごくいい所も取り立てて嫌な所もないです。ジャケットが若干大きいのが難点ですが、安く手に入ったという得点があるので、今言った2つがちょうど相殺し合って、何もなくなります。あとJ.pressは本国ものと日本のライセンスものが分かれてるのか、そこら辺のことが調べてもよく分からなかったです。本気の本気で調べれば分かるんだろうな、とは思います。着画です。

f:id:sasasava:20230111000731j:image

では最後、4着目。

f:id:sasasava:20230111002500j:image

ブランド:green label relaxing、購入元:ヤフオク、着用目的:普段着

最後は普段着で着るネイビーのコーデュロイのスーツです。さきほどのベージュのスーツが春夏ものだったので、秋冬ものが欲しいということで購入しました。形自体もベージュのスーツとは対照的で、こちらは襟が細くて胴もタイト、ズボンもノータックで細身でくるぶし丈。ベージュのスーツがクラシックなのに対してこちらはモダンな形ですね。

green label relaxingユナイテッドアローズの若者向けのオリジナルブランドで価格も安く、僕が購入したのは、さらにそれの着古された叩き売りの古着だったので、手に入れた当初は正直舐めていました。まあ一旦着てやるけど、飽きたらすぐに捨てるから、わかるよね?いいよね?的な向き合い方でした。すっごく支配的な関係ですよね。ハンガーにかかったこのスーツを片手でむしるように剥ぎ取って軽食をつまみながら着替えたり、スラックスの膝が出るのを承知の上でガンガンしゃがんで立ち上がるというハードなスクワットをかましてみたり、街に出たら出たで駅前広場のカチカチのアスファルトの上に寝そべったかと思うとそのまま右にゴロゴロ転がって、舗装されていない土まる出しのゾーンに進行してみたり、帰宅早々まるで背負い投げするかのような勢いでジャケットを体から剥いだかと思うと、体勢を取り直して片足を踏ん張り、ジャケットを持った腕を思いっきり振って、壁にぶん投げるなどしていました。すっごく支配的な関係ですよね。

ただその支配的な関係にも段々と変化がありました。僕にとって気軽で都合のいいこのスーツは、一番手に取りやすく、ふと気づいたら着用頻度No. 1のスーツになっていたんです。あれ…俺…またこいつ選んでる…。そこで僕のこのスーツに対する向き合い方が変わりました。好き放題に着るだけ着て上下、壁に叩き付けて保管していたのが、ちゃんと、上下畳んで保管するようになりました。その上からファブリーズを降るようにもなりました。空いた時間にはアイロンをかけてあげるようにもなりました。今やこのスーツは僕を沼らせ、むしろ僕が支配されている。そんな話も、あるくらいです。そんな話も、あるくらいですよ。着画です。

f:id:sasasava:20230111030501j:image

以上です。2022年に買ったスーツの感想でした。