カルチャー加藤くんの文化活動

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シベリア抑留を経験した詩人石原吉郎さんとダウンタウン松本人志さんの共通点を見つけた

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歌人穂村弘さんのエッセイを読んでいて、面白いエピソードがあった。穂村弘さんのエッセイについては前にもこのブログで書いたので、こちら突き抜けるほどに、非常に面白いので読んでいただければと思います↓

初デートで女の子の料理に虫が止まったらどう対応するのがベターか?(by穂村弘) - カルチャー加藤くんの文化活動

◼️詩にとっていちばん大事なものはなにか

さてどんなエピソードか紹介しよう。(どのエッセイ集で言っていたことか忘れてしまったので僕の覚えてる感じで紹介させて頂く。そのため元の話と若干違うかもしれないがご了承いただきたい。ごめんなさい。)まず穂村さんは今も現役で活躍されている歌人・エッセイストの方だ。そんな穂村さんは石原吉郎さんという詩人を尊敬しているという。石原吉郎さんは大正生まれで穂村さんよりずっと上の世代。シベリア抑留という過酷な戦争体験をしていて、それを文学、詩に昇華する作風だったという。そんな石原吉郎さんがあるインタビューで「詩にとっていちばん大事なものはなんですか?」という質問を受けていた。その時穂村さんは自身の過酷な体験をテーマとする石原吉郎さんは、詩の内容のことについての回答をすると思った。しかし、石原吉郎さんはその問いに対し「リズム」と答えたらしい。穂村さんは驚いたと言う。そして過酷な体験を作品に込める、濃い内容を綴る石原吉郎さんが言うからこそ「リズム」という答えが重く、説得力を感じたという。

このエピソードをきいて僕は、「あ俺も同じ驚きを感じたことがあるなあ」とあることを思い出した。

◼️ダウンダウン松本人志

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松本紳助という番組で笑い飯さんが漫才を披露し、合間に松本さん、紳助さんとトークをするという回があった。ぼくはその番組をYouTubeで見ていた。番組の終盤、笑い飯さんがネタを終え裏にはけ松本さん紳助さんが笑い飯さんの漫才を評する場面があった。基本ふたりの雰囲気として笑い飯さんを認めている、面白いと思っている感じだった。そして紳助さんが一通り褒めたあと「なんかわかったなまた、、(なにがすごいのか)わかった?」と松本さんに問う。この時ぼくはうわ「なにがすごいのかわからないと!」と焦り、試されているような気分になった。というのもこの動画を見たのは高校の時だったと思うのだが、当時松本さんを神と信仰する松本信者だった僕は松本さんの思想思考を絶対のものだと狂信し熱を上げまくっており、なおかつ自分が松本さんの一番の理解者だと思い上がりまくっていたため松本さんがどう答えるのか、絶対に外すわけにはいかなかったのだ。僕は松本さんが問いに答える前に一度動画を止め、うーんうーんと唸りながら答えを弾きだそうと冷や汗をかきながら「俺はこんなところで外すわけにはいかないんだ!外したらおれは死ぬしかないんだぞ加藤わかったか!」くらいの血走りまなこで熟考した。そして僕は松本さんがコントや企画、トークで見せる強烈で独特の世界に想いを馳せ、そんな松本さんが言うことは、、、と思い、このボケがすごいとか設定が面白いとか、内容のことについて答えるに違いない!と考えた。それに笑い飯さんの漫才も変わった設定や独特な世界観というイメージがあったから、絶対そうだ!そうなはずだ!と確信した。ただ外すことを極度に恐れていた僕は「内容のことについて言う」という範囲を広くとった答えをひとまず用意し、動画を再開した。しかしそこで松本さんはこう答えたのだ。「テンポが一定じゃないんですよね。」テ、テ、テ、テ、テンポ?!結果大外しだった。そして紳助さんは食い気味で「そうそう、そうやねん!」と反応した。そうなの!?とびっくりした。ふたり通じ合っているのもすごいし、なんと言っても松本さんが内容のことではなく「テンポ」と答えたことに衝撃をうけた。そしてちゃんと外したことに落ち込んだ。でも独特の世界を作る松本さんだからこそ「テンポ」と答えたことがすごいかっこいいー、、、、ともおもったし、説得力を感じたし、すごく知的に感じたのであった。

この驚き、感じたことはまさに穂村さんが石原吉郎さんに感じたことと同じだと思う。詩とお笑いという違いだけで全く同じ話だなあ、面白いなあと感じたので話させて頂いた。あとこれは違う話かもしれないけれど「内容」と「リズム」というのは漫才でも詩でももっと言えば小説でも歌でもラップでも映像でも共通してあるテーマだなあと思ってそれも面白いなあと感じた次第である。さあ、僕の文章。内容は置いといて「リズム」はいかがだっただろうか?良かったら、良いなあ、と思わせて頂いて今回はこの辺で失礼させて頂くことにさせて頂く。リズム&テンポlove