カルチャー加藤くんの文化活動

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人を傷つけない「優しい笑い」?

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◼️人を傷つけない「優しい時代」

M-1グランプリ2019が終わってミルクボーイさんぺこぱさんなどが人を傷つけない「優しい笑い」だと話題になった。ほんとに優しいかどうかは置いておいて、ここ最近お笑いに限らず世間は「優しい」を求めているんじゃないかなあと思う。僕自身もここ最近「優しい」が1つのテーマになっている。そのきっかけはいくつかあって1つはこのブログの第一回で書いたラッパーのtohji。tohjiの人物像について詳しくはその記事を読んでいただきたい。彼は天才・カリスマのイメージを纏っていて観る側にもそう受け入れられていると思う。パッと天才・カリスマと言われると攻撃的で破壊的な人を想像するんじゃないだろうか。ロックで言うならシド・ヴィシャスとかカート・コバーンとかお笑いで言ったらたけしさんとか松本人志さんとか。他人を寄せ付けない怖くて尖ってる感じ。だけどtohjiはまるで逆で演者と観客の境界線を引かない、優しい姿勢を意識的に打ち出しているように見える。(それはインターネットによって国境や時代による境界線がない、誰でも表現ができ、みんな同じ立場にいるからということだと思う)それがとても新鮮で衝撃的だった。

もう一つ、この優しいという感覚は今、共通する感覚なんだなあと思ったことがある。僕は神聖かまってちゃんというロックバンドが好きで、そのフロントマンのの子さんをとても頭が良くてフェアでピュアな人だなあと信用・尊敬を寄せているのだけど、そのの子さんがM-1のぺこぱさんをみて感心したとTwitterで呟き、続けてこう呟いていた。

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今は「優しい」が新しくてかっこいい時代なのかもしれない。

◼️優しいってなんだろう?

僕はそんなことを考えているうちに「優しい」って一体なんだろう?と考えるようになった。そんな中、個人的にストンッ!と腑に落ちる、パンッ!と膝を打つ答えが見つかった。それは爆笑問題カーボーイという爆笑問題さんのラジオでの太田さんの発言だ。南海キャンディーズの山里さんが蒼井優さんと結婚したという話題で、太田さんが今まで山里さんをキモいだなんだと言っていた女性タレントが手のひらを返し、口を揃えて「山ちゃんは優しい」と褒め称えるのに対し「今までそんなこと言ったことねえじゃねえか!」と笑いにしていた時だった。太田さんはあんなやつ性格が悪くてキモち悪ぃだろと毒づきこう続けた。優しいというのは気づくということなんだと。気づくっていうのは周りに気を配ることができるから、優しいってなるけど裏を返せば人の嫌な部分にも気づくということで性格が悪いということでもあるんだと。なるほどなあとストンッと腑に落ち、パンッと膝を打った。どういうことかすこし分かりづらいかなと思うので例えばというか、この話をバイト先の男子大学生に話したときの話をしたい。

僕はバイト中何かの流れで彼にその話をした。すると彼は「それ今鳥肌たちました!」と反応したので「あまじ?なんか思い当たることあるの?」と聞いた。彼は演劇サークルに入っていて、そのサークルの中では〇〇くんって優しいよねえと周りからよく言われるらしい。でも彼としては言葉にはできないけどそう言われることに、なんとなく違和感を感じていたという。というのも彼は地元の友達グループでいると、友達の言われたくない部分をあえて口にし、いじくり、笑いにするキャラでお前ってほんと性格悪いよなぁと言われるというのだ。つまり自分は気づいたから優しく見られたし、気づいたから性格が悪いと言われたのだと。その話まんま自分のことだ!と思ったらしい。優しいという態度は人より気付き、賢くないとできないのかもしれない。

◼️カネコアヤノさんの「愛のままを」

ここまで書いてきてなんとなく今回の記事はまとまりがないなあと自分で思っている。「優しい」について散文的に(使い方合っているでしょうか?)書いてきてここがミソって中心がない気がして、思ったことをただ並列に並べているだけで、考えがまとまっていないまま出しちゃったかなと思っている。でも、まあ、今回は一個のことを突き詰めて掘るんじゃなくてテーマの周りをチョロチョロと色々考えましたって回ということにして、もう一つ「優しい」に関しての話をして終わろうと思う。ここまで「優しい」に魅了され「優しい」ってなんだろう?優しくなりたいなと思ってきた僕だが、逆に「優しくなさ」に惹かれた話だ。

どこへ行こうか 雲がひとつもない
久しぶりの天気
泣かせた誰かのこと思い出したって仕方がない日
できるだけ上を向いて歩いていこうね
子猫のフリして 空を仰いだ 空を仰いだ

カネコアヤノさんの「愛のままを」という歌の一節だ。この太字の部分。を聴いた時うわっいいなと思った。すごく優しくないのだ。今日はすごく天気がよくてワクワクするから、泣かせた誰か。僕はフッた相手なのかなあと思ったのだけど、その人のことなんてどうでもいい日だなあ。というのだ。全く優しくない。けど本当のことだなあと思った。仕方がない日とあるけどまさにその表現がぴったりだなあと思う。それはそういうもんだから、仕方がないよなあと。そう考えたらこの歌詞は「人間の優しくない所」も肯定してくれてるんだから逆にすごい優しいんじゃないかとも思えてくる。ちょっと入り組んできたので、今回はこんな所で失礼をいたします。優しいlove